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2025年10月17日

Traditional vs Roth 401(k)の見直しポイント

数年前からTraditional 401(k) と Roth 401(k) の両方に拠出できるようになり、皆さまはどちらを選択されていますでしょうか。

先月、SECURE 2.0 Act の下で IRS が catch-up contributions(追加拠出) に関する最終規則を発表しました。内容としては、50 歳以上で前年度の賃金が 145,000 ドルを超える方について、catch-up 分を Roth(課税後拠出) として行うことが義務づけられます。

また、60~63歳の参加者には、「“super catch-up”」と呼ばれる拡大拠出枠が設けられ、通常の catch-up 限度額の 150%にあたる額まで拠出できるようになります。

新ルールは 2026 年から本格適用 される予定です。この規則改定により、50歳以上で高所得者の方は、これまで税控除の対象だった catch-up 拠出を Roth 拠出として税後の拠出を行う必要があり、引き出し時には非課税となる一方、拠出時の税負担は今より重くなる可能性があります。

このため、将来の税率見通しや家族構成、他の収入源などを見据えて、未然に対応方針を検討する必要があります。これを機会に、Traditional と Roth の違いについて改めて考えてみましょう。


■ 基本的な違い
◯Traditional 401(k)
拠出時:税金控除あり(課税所得が減る)
引出時:課税される

◯Roth 401(k)
拠出時:課税後のお金で拠出(控除なし)
引出時:非課税(条件を満たせば)

■ 30代の方はどちらに拠出をするのがいいでしょうか?
30代で現在の税率が22~24%程度の場合、Traditional 401(k)を利用すると拠出した分だけ今すぐ課税所得が減り、節税効果が期待できます。一方、Roth 401(k)の場合は拠出時点で税を支払うため手取りは減りますが、65歳になって引き出すときには非課税で受け取れる安心感があります。

65歳時点で税率が15~20%程度に下がると想定されるなら、今の節税メリットを受けられる Traditional 401(k) が有利と考えられます。しかし、将来税率が今より上がると見込まれる場合には、Roth 401(k) の方が結果的に有利となるでしょう。

また、30代でお子さまがいらっしゃる場合、子ども控除(Child Tax Credit)によってすでに課税額が大きく減っていると、Traditional 401(k) や IRA の拠出による節税効果は限定的になることがあります。

そのような場合には、将来の引き出しが非課税となる Roth への拠出の方が有利になるケースもございます。

■ 65歳で税率が20%を超えるのはどんなとき?
リタイア後でも、年金(Social Security や企業年金)と投資収入が合算されることで課税所得が増えることがあります。さらに、401(k) や IRA からの Required Minimum Distribution (RMD) により、強制的に大きな金額を引き出す必要が生じると、所得が一気に増えて税率が上がる可能性があります。配偶者の年金や収入が合算される場合も同様で、結果的に税率が20%を超えることは珍しくありません。加えて、将来の税制改正で連邦税や州税が引き上げられれば、税率がさらに高くなるリスクもあります。

■ 最後に
どちらの制度にもメリットとデメリットがあり、将来の税率やライフプランによって有利不利は変わります。そのため、Roth と Traditional のどちらか一方に絞るのではなく、両方を活用してバランスを取ることが最も賢明な選択と考えられます。言い換えれば、どちらのカードも持っておき、将来の状況に応じて柔軟に使い分けられる体制を整えておくことが大切です。

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