IRS(米国国税庁)が警告!あなたも標的に…?
今回は、2024年のIRS(米国国税庁)犯罪捜査局が公表した「トップ10の事例」の中から一つのケースをお伝えします。下記は、あくまで事例の一例を要約したものです。
事例の概要
■ 事件内容
税務申告書の作成(Tax Return Preparation)を行う業者(いわゆる「申告代理人」)が、顧客の申告を代行する際に、意図的に経費や控除額を過大に計上するなどの不正行為を行い、結果として顧客に不当な税還付を受けさせていた。さらに、虚偽の還付金申請手数料を上乗せして「還付金の一部」をピンハネしたり、顧客情報を使って勝手に追加の還付金を申請し、自身の口座に振り込ませるなど悪質な行為が発覚しました。
■ どんな人が巻き込まれやすいか
不正を行っていた申告代理人(会計事務所や個人含む)は、SNS広告や口コミで「還付金額を大きく増やせます!」「節税のプロにお任せ!」といった宣伝をしていた。一般の納税者は「節税になるならいいかも」と安易に依頼してしまい、のちにIRS(国税庁)から不当な還付金の返還やペナルティを求められるなど、大きなトラブルに巻き込まれる事態となりました。
■ 犯罪成立の仕組み
1. 不正な控除・経費計上 : 本来は認められない領収書や費用を計上して、所得を不当に少なく見せる。
2. 虚偽の申告作成 : 虚偽の申告書を提出することで、顧客に大きな還付金を受けさせる。
3. 還付金のピンハネ : 申告代理人が「仲介手数料」などと称して、顧客の知らない口座に還付金を振り込ませる。または還付が実際より少ないと顧客に伝え、余った分を自分で着服するケースもあった。
事件のポイントと教訓
1.「 高額節税」「高額還付」の謳い文句には注意
・納税者が 当然受け取られる還付以上に「大きな還付金が得られます」と強調宣伝するのは要注意。
・過度に甘い話や、手続きの詳細を曖昧にする業者には慎重に対応すること。
2. 自分の申告内容を把握する重要性
・代理人に申告を任せっきりにせず、どんな控除や費用を計上するのか説明を受ける。
・提出書類のコピーを受け取り、中身を確認したうえで署名すること。
3. 還付金の振込先と金額の最終チェック
・還付金が自分の口座にきちんと振り込まれているか、IRSからの通知書(Notice)に記載されている金額と一致しているかをチェック。
・代理人が勝手に別口座を指定していないか、還付金額が説明と異なっていないかを必ず確認する。
4. 疑わしい場合は早めの相談・報告
・不審な点があれば、速やかに税理士(米国の場合はCPAなど)や専門の機関に相談する。
・重大な不正行為に巻き込まれた場合には、IRSの情報提供窓口に報告することも検討する。
税金の申告代理人による不正は、いかにも「自分には関係ない」ように思えますが、実際には「良さそうな話につられて安易に任せた結果、知らないうちに不正申告に加担していた」というケースが少なくありません。結果的に、ご自身が、還付金の返還や罰金で大きな損失を被ることになるリスクがあります。大切なのは、「節税のノウハウ」や「還付金額のアップ」といった宣伝文句に飛びつく前に、提案されている内容が合法的かどうかを自分の目で確かめること、そして申告書の内容や振込口座をしっかり確認することです。