ホーム > ニュース一覧 > 2025年税制改正速報!One Big Beautiful Bill Actのポイントを徹底解説
2025年08月14日

2025年税制改正速報!One Big Beautiful Bill Actのポイントを徹底解説

■ 個人所得税に関する主な変更点
○標準控除額(Standard Deduction)の引き上げ(2025年~)
 例)夫婦合算:$30,000 → $31,500/単身:$15,000 → $15,750
 ※個人免除(Personal Exemption)は完全廃止されている

○65歳以上の方へ:新しい特別免除額が新設
・1人あたり最大$6,000(2025から2028年)の控除がある
・所得に応じて段階的に減額され、所得が$75,000(夫婦合算は$150,000)以上の場合は控除の減額が始まる
・また、Social Security Numberが必須でITINでは申請できない

○寄付控除の拡充(2025年から2028年)
*目的*
・全体的な寄付の促進
・70歳半以上の方のIRAから直接行う寄付の促進(0.5%のFloorがないため)
・標準控除を選択する人でも、最大$1,000(夫婦合算で$2,000)まで寄付控除が可能になった
・項目別控除を選択する方は、0.5%のAGI床(フロア)が適用される
・たとえば年間の所得(AGI)が$100,000の方なら、最初の$500(=0.5%)までは控除できず、それを超えた金額だけが税金計算で差し引ける、という仕組み

○子ども税額控除(Child Tax Credit)の増額
・現行$2,000 → $2,200(2025年以降インフレ調整あり)
 ※申告者と子の双方にSSN(社会保障番号)の記載が必要

○“チップ税”と“残業代課税”の免除(2025年から2028年)
<チップ控除>
・対象となる職業は、IRSが定める「チップを慣習的かつ定期的に受け取る職業」に従事する方
・自発的に受け取ったチップに対して最大$25,000まで非課税扱いになる
・年収が$150,000(夫婦合算なら$300,000)を超えると段階的に控除額の減額となる

<残業代控除>
・残業の「プレミアム部分」(時間外賃金 × 1.5 など)に対しての控除
・年間最大$12,500(夫婦合算なら最大$25,000)まで非課税扱い
・Form W2やForm 1099などにて報告された残業代のみが対象
・チップ控除同様、年収が$150,000(夫婦合算なら$300,000)を超えると段階的に控除額の減額となる

○車ローンの利息控除(新設:2025から2028年の期間中)
・対象車両は、米国で最終組み立てされた新車
・控除額は、乗用車ローン利息のうち最大$10,000まで控除可能
・所得が$100,000(夫婦合算なら$200,000)を超える場合は、段階的に控除額が減額される
・申告時には車両のVIPの記載が必要
・基本的には、貸し手は、IRSへ利息額を報告し、納税者にも報告書を提供する必要がある

■ 中小ビジネス・フリーランス向けの主な税制変更
○QBI(§199A)の20%控除が恒久化
・所得制限の緩和と最低$400の控除が設定され、小規模事業主の恩恵が拡大

○研究費(R&D)に対する即時償却が復活
・2025年から恒久化
・スモールビジネスは2022年まで遡って適用可

○IRC §179:即時償却上限の引き上げ
・上限が$2.5M、段階的削減の開始点は$4Mに引き上げ(インフレ調整あり)

○クリーンエネルギー税額控除の多くが段階的に廃止
・住宅用太陽光(§25D)、電気自動車(§30D, §45W)などは2025年末までに取得したものが対象

■ 相続税・教育・医療関連の変更
○基礎控除(Estate & Gift Tax Exclusion)
・2026年より$15M(インフレ調整あり)に統一

○トランプ・アカウント(Trump Accounts)
・2025年以降に生まれた子に対し、連邦政府が$1,000を拠出するIRA類似口座を創設。親が年$5,000まで追加拠出可能

○学生ローン免除の非課税措置が恒久化
・死亡または障害による免除が引き続き非課税

■ その他注意すべき点
○1099-MISC/NECの報告義務が緩和
・$600 → $2,000へ引き上げ(2025年から適用)

○一部控除・優遇措置の期限あり
・例:チップ・残業代の控除、車ローン利息の控除などは2029年末に失効予定

■ 会計事務所からの一言
今回のOBBBAは、トランプ時代の税制の恒久化に加え、中間層向けの控除新設やインセンティブの見直しが盛り込まれた非常に包括的な改正です。一方で、再生可能エネルギー関連のインセンティブが削減・廃止されるなど、投資判断に影響を与える変更も含まれています。2025年以降の節税・投資・教育資金計画に大きく影響しますので、いつでもご相談くださいませ。

トップページへ戻る