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2025年11月19日

2025年からの新控除制度「自動車ローン利息控除(Form 1098-VLI)

2025年も残りわずかとなりました。年が明けるとまた2025年度の確定申告書(Tax Return)のシーズンが始まります。その前に、皆様に関わりのある自動車ローンについての控除のご案内をいたします。

■ 新しい自動車ローン利息控除制度「Form 1098-VLI」について
IRS(米国内国歳入庁)は、新たに自動車ローンの利息控除を導入するための様式 Form 1098-VLI(Vehicle Loan Interest Statement/自動車ローン利息明細書) を発表しました。

該当される方は、「Form 1098-VLI」の受取の漏れがないよう郵便を確認いたしましょう。これは「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA法)」に基づく改正で、2025年以降に取得した新車のローン利息について、一定額までの控除が認められるものです。

■ 控除の概要
この新制度では、2025年から2028年の各課税年度において、納税者が支払った自動車ローン利息のうち最大10,000ドルまでが控除の対象となります。

この控除は、住宅ローンの控除と異なり、項目別控除(itemized deduction)を申請されない方でも控除申請が可能です。控除の対象となるのは、2024年12月31日以降に取得した新車のための元本ローンです。

中古車やリース契約は対象外であり、ローンが車両を担保としていることも要件とされています。

■ 対象となる車両の条件
対象となるのは、公道を走ることを目的に製造された一般的な自動車(乗用車、ミニバン、SUV、ピックアップトラック、オートバイなど)です。これらの車は、環境保護庁(EPA)が定める基準に基づいて「公道で使用する車」として認められているものを指します。

つまり、ゴルフカートや農業用・工事用の車両など、公道を走ることを前提としていない特殊車両は対象外となります。

また、最終組立(final assembly)が米国内で行われた車両であることも条件とされています。控除対象となるのは、あくまで個人使用目的の新車ローンであり、事業用車両や中古車ローンは対象外です。

この控除には所得制限があり、AGI(調整後総所得)が単身で10万ドル、夫婦合算で20万ドルを超える場合は段階的に控除額が減少します。

■ 申告と報告の方法
納税者は、新設される Schedule 1A に控除額を記載し、車両のVIN(車両識別番号)を報告します。

Form 1098-VLIには、支払利息額、車両のメーカー・モデル・年式・VIN、ローンの開始日および取得日、年初の未払元本残高、さらに過年度の利息返還額などが記載されます。

もし過去に控除した利息が後に返金された場合、その返金額は返金を受けた年の課税所得として再計上する必要があります。

■ 2025年の経過措置
IRSは2025年に限り、貸し手やその他の利息受領者に対して経過的な報告義務の緩和措置を設けました(Notice 2025-57)。通常、貸し手(し手(銀行や金融機関など)は借り手(納税者)に対し、年間で受け取った自動車ローン利息の総額を示す情報をForm 1098-VLIで報告する義務があります。

しかし2025年については、以下のいずれかの方法で利息情報を借り手に提供すれば、Form 1098-VLIを発行しなくても報告義務を果たしたとみなされます。

*-借り手が簡単にアクセスできるオンラインポータル上で提供
*月次明細(regular monthly statement)への記載
*年間明細(annual statement)の送付
*または、上記に準じる適切な方法で情報を提供

タックスリターンをされる方も、Form 1098-VLIを受け取らなかった場合は、貸し手に連絡の上、Form 1098-VLIまたは、替わりになる資料をもらうようにしましょう。なお、年間600ドル以上の利息が発生した場合のみにForm 1098-VLIの報告義務の対象となります。

■ 最後に
今回の制度は、自動車を新規に購入する予定のある方や、ローンを利用して車を取得する個人納税者にとって特にメリットのある内容といえます。

統計によると、米国内では昨年、約240万台の新車が販売され、そのうち約8割がローン契約を伴っていました。したがって、この制度は多くの個人納税者に影響を与えるのではないかと考えています。

これまで住宅ローン利息など特定の支出しか控除対象とならなかったところに、新たに「自動車ローン利息控除」という選択肢が加わることで、車の購入計画を立てやすくなる可能性があります。

また、控除は、Standard Deductionを申請される方でも適用できる点が大きな特徴で、多くの方に恩恵があります。

一方で、対象となるのはあくまで新車かつ担保付きローンに限定されており、所得制限も設けられています。そのため、すべての納税者に自動的に適用される制度ではないところが留意点です。

もし2025年以降に車の購入を検討されている場合は、購入時期・ローン契約内容・所得水準などが控除の可否に関わりますので、早めの検討とシミュレーションをおすすめいたします。ので、早めの検討とシミュレーションをおすすめいたします。

新しい税制が始まる前の今こそ、将来の節税につながる準備を進めておくことが大切です。ご不明な点や具体的な影響については、どうぞお気軽にご相談ください。

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