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2018年06月15日

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書(Statement of Cash Flows)

損益計算書で黒字の企業が、ある日突然倒産することがあります。これは、会計上と実際のお金の流れのズレに起因します。小売業以外のほとんどの業種は取引発生と同時に売上徴収をすることが難しく、インボイス発行後、設けられた期限までに徴収します。その間、利益は計上されますが支払いは実際に受け取っていません。 一般的には営業CFは通常の業務や運営の現金の流れを確認できます。 ここでもし大きな金額の返済義務などで資金繰りが困難となった場合、“黒字倒産”の可能性が出てきます。

一定期間内の企業の資金の流れを把握するため、分かり易くまとめたものがキャッシュフロー計算書です。会社の状態をより深く理解するためにも、貸借対照表や損益計算書と同じく重要な資料です。

この計算書は三つのセクションによって成り立っています。
・営業CF(Cash flow from Operations)
・投資CF(Cash flow from Investing)
・財務CF(Cash flow from Financing)


・営業CF
製造、販売、サービスなど、企業の純粋な営業活動によって発生する資金の流れです。 一般的には営業CFは通常の業務や運営の現金の流れを確認できます。 過去に遡って営業CFが持続的にプラスになっている企業は今後の成長も期待できると言って良いのではないでしょうか。


・投資CF
主に固定資産の売買や資本投資に関わる資金の流れです。通常業務で発生した余剰資金を定期預金や株式・債券などを投資する場合はここに記入されます。(銀行など、業種によっては金融投資も営業CFに計上されることがあります。)
加えて、新工場の設立や新店舗の展開など、事業に関連した出資も投資活動に含まれます。この投資は将来の営業CFを生み出すための先行投資ともいえます。現時点で営業CFがプラスでも、先行投資無しでは将来的に利益が落ち込んでしまう可能性があります。


・財務CF
株主への配当金、銀行からの借入・返済、そして株式を発行し売却した際の資金の流れです。これは、通常業務における資金不足をどう補ったかを表します。借入金の返済は営業CFがもととなるため、健全な企業は「借入金の返済額<営業CF」となるはずです。借入金の返済は損益計算書に載らないので、そこで黒字決算であっても「借入金の返済額>営業CF」の場合、資金不足となる可能性があります。

上記の三つのセクションで算出した数値を合算したものが、その期間に発生した資金の出入りとなります。


・計算書の分析の仕方

財務CF(資金調達)⇒投資CF(事業投資)⇒営業CF(収益獲得)⇒財務CF(借入返済or配当実施)⇒投資CF・・・と資金は循環しています。この推移をみることで、その企業の投資戦略や財務体制が手に取るように分かるといっても過言ではありません。過去の推移を見る際、単年度のみでなく、5年10年単位で見るとより有効です。

キャッシュフローを良くする為には、まず営業CFを向上させるべきです。それには、顧客からの売り上げ金回収期間を短くし、取引先への支払い期間を長くします。こうすることで、手元に長く資金を持つことが可能になり、理想的な営業CFとなります。

営業CFマージンや営業CFキャッシュフロー対流動負債比率によって計算書を分析することも可能です。前者は通常営業によってどれだけキャッシュを生み出せるかという数字で「営業CF÷売上高」という計算式で、後者は企業の返済能力を示す数字で「営業CF÷流動負債」という計算式で表されます。

キャッシュフロ—決算書 は作成しなければならないわけではありません。しかし、実際の資金の流れを把握することによって経営の健全性の判断を高めることができるので、簡易的なものでも作成することをお勧めします。それを基に向こう数年に渡ってキャッシュフローを作成すれば、将来の事業計画も建てやすくなります。


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