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2018年04月15日

アメリカの社会保障

アメリカの社会保障は、十年(40四半期)以上社会保障を納めた人に対して給付されます。これを定年退職後の収入源として期待されている方も多いと思いますが、ここ数年日本で取り沙汰されている年金問題と同様にアメリカの社会保障も先行きが不透明になっています。

2016年の社会保障委員会の発表によると、社会保障が満額支払われるのは2034年で、以降の満額支払いは難しいとされています。これは、2011年に発表された2037年という予想よりもさらに期間が短縮され、ますます危機感が深まっている状態です。しかし、将来的に給付金が0になる、というわけではなく給付予定額の75%は最低保障されるようです。


その他の退職金制度の活用

社会保障の減額が見込まれるということは、他の定年後の生活費も確保しておくべきでしょう。そこで、IRA(個人退職金口座)や401(k) (確定拠出年金)といった、定年後の生活費確保という目的のみならず、節税対策にも繋がる制度を利用してみてはいかがでしょうか。
2017年、IRAは50歳未満は5500ドル、50歳以上は6500ドルの控除が、401(k)は50歳未満は1万8000ドル、50歳以上は2万4000ドルの控除が取れるので、より大幅な節税効果を期待できます。
しかしながら、両制度とも59.5歳までに引き出すとペナルティーが発生する、という側面もあるのでそこを理解して投資しなければなりません。


社会保障の支払い

アメリカ市民、居住者で雇用主から給与を受け取っている場合は給与の6.2%、個人事業主は純利益の12.4%を社会保障として支払わなければなりません。(駐在員、F/Jビザの場合、支払わなくてもよい場合があります。) 給与を受け取っている場合は会社が半分社会保障を支払っているので、個人事業主の半分になっています。


社会保障の受給

満期は生まれ年によって下記テーブルのようになっています。

生まれ年満期 (年齢)
1937以前65
193865, 2 months
193965, 4 months
194065, 6 months
194165, 8 months
194265, 10 months
1943-195466
195566, 2 months
195666, 4 months
195766, 6 months
195866, 8 months
195966, 10 months
1960以降67


62 歳から社会保障を引き出すことも可能ですが、下記のように満期の支給額より低いものとなります。

生まれ年 満期 (年齢)減額(%) 62歳から満期まで(月)
1937以前6520.00 36
1938 65, 2 months20.83 38
1939 65, 4 months21.67 40
1940 65, 6 months22.5 42
1941 65, 8 months23.3344
1942 65, 10 months24.17  46
1943-1954 6625.00  48
1955 66, 2 months25.8350
1956 66, 4 months26.6752
1957 66, 6 months27.5054
1958 66, 8 months28.3356
1959 66, 10 months29.1758
1960以降 6730.0060


早期受給によって減額が生じるのとは逆に、繰延受給に対しては利子が発生します。下記に生まれ年と利子の関係を示したテーブルを添付したのでご参照ください。

生まれ年 年利(%) 月利約(%)
1933-1934 5.5 0.458
1935-1936 6.0 0.5
1937-1938 6.5 0.541
1939-1940 7.0 0.583
1941-1942 7.5 0.625
1943以降 8.0 0.666


繰延受給は、最初に受給する年齢から満期の年齢を差し引いた月の数に、上記テーブルの月利を掛けた金額が給付額となり、その金額が生涯支払われ続けます。例えば、1945 年生 8 月生まれの方が、社会保障の受給を 2018 年 3 月より開始するとします。この生まれ年は 65 歳 6 ヶ月が満期で、受給者は 73 歳7ヶ月です (2018 年 2 月末 ) 。
73 歳7ヶ月から 65 歳 6 ヶ月を引いた月の数、 97 ヶ月に上記テーブルの 0.666 %を掛けた数字、 64.60% が利子となります。この方が満期で月 1000 ドル受給予定だったとすると、繰延受給により、受給開始より毎月 1646.00 ドル支払われ続けます。

快適な退職後の生活の為には、在職中の収入の70-80%の収入が必要と言われておりますが、社会保障のみではその40%程度にしか達しません。そこで必要となってくるのが、個人での貯蓄、並びに投資となります。本文にもあるIRAや401K は退職後の蓄えになるだけでなく、大きな節税効果も見込めるので、是非活用するべきでしょう。


ご質問などございましたら、 info@iiocpa.com までご連絡下さい。

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